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【建築物の打音検査をアプリで実現】職人の感覚や高額機器に頼らない最新技術の開発

AR技術を応用した簡易打音検査システム開発の共同研究
建造物検査技術の発展に貢献

  • AR打音検査アプリ

システム導入の目的

  • 建築物の劣化や欠陥を早期に発見する
  • 検査情報を見やすい形に可視化

導入されたシステム

  • AR技術によって建築物の劣化や欠陥を可視化するスマートフォンアプリ

システムの効果

  • AR技術を使った建造物検査技術の発展に貢献
  • 打音検査の実用化への貢献

業務の課題や目標は?

建築物の外壁タイルは、建築基準法第12条で特殊建築物を対象に2〜3年毎の「目視及び部分打診調査」と10年毎の「全面打診調査」等を行うことを義務付けられています。構造物の維持管理において、劣化や欠陥を早期発見することは、補修・改修コストを圧縮できるだけでなく、劣化により発生する事故等を未然に防ぐという重要な役割があります。

しかし、これらの検査は職人の聴覚に頼った打音の検査や高額な特殊機械を使った検査しか選択肢がないという課題がありました。そこで、打音検査用の機器とスマートフォンアプリを組み合わせて、職人の感覚に頼らず、安価で精度の高い打音検査を実現することを目標としました。

課題解決に向けて

共同研究を行っている大学では打音の波長による診断方法を研究しており、これまでの研究で外装タイルやコンクリートに対して、欠陥のある箇所は時間周波数分析(TFFT)ができることがわかっていました。
そこで、打音結果のTFFT画像と位置情報などを組み合わせてAR(拡張現実)によって欠陥箇所を可視化するアプリを実現しました。

点検したい構造物の表面を連続して打音しながら、その様子をスマートフォンで録画、録音します。アプリが打音の周波数を自動で分析し、AR技術で打音の時間周波数分析結果の画像と打音検査した実際の構造物をスマートフォンの画面上に重ねて表示することで、画面を見ながら異音を検知した構造物の位置を直感的に確認できるアプリを開発しました。

システム導入効果

連続した打音検査が欠陥の検出や検査時間の短縮に効果があるものの、TFFT画像で発見された劣化や欠陥位置を、実際の建造物と照らし合わせて正確な位置を特定する方法が今までなかったのですが、AR技術を利用することで打音検査の実用化に向けた大きな一歩となりました。

また、対象は外装タイルおよびコンクリートとなっておりますが、金属材料などの環境測定にも応用できる可能性を示しました。